第4回「人事情報システム導入のプロセス」3
[ 掲載日 ]2023/10/17
[ 掲載日 ]2023/10/17
(1)システム更新の企画段階
3)機能追加の場合
統合パッケージの場合、提供されるモジュールを追加して導入することがあります。その機能が企業が必要としているニーズを満たす場合、良いと言えますが、叶わない場合、異なるパッケージを現在のシステムに導入する必要があり、それに伴うインターフェースの調整なども必要です。
統合パッケージや買収した会社のパッケージの場合、通常インターフェースなどが考慮されていることが多く、心配事は少ないです。しかし、その他の場合では、導入環境での実績があるかどうかを調査する必要があります。
また、最近ではクラウドで提供されるパッケージも増えているため、既存システムとのネットワーク上での運用についても検討が必要です。
最近、追加機能の導入に関して注目されているのは「タレントマネジメント」です。ベンダーのセミナーは盛況のようですが、最終的には導入を見送るケースも増えています。その理由は、外国製のタレントマネジメントのシナリオに違和感があると感じることが多いからです。また、自社にはまだ導入が早すぎると感じる、いわゆる「システム以前の問題が解決されていない」といった理由もあります。経営者や企画担当者が、本当の意味での人材マネジメントについて考えていないこともあります。
結局、導入の必要性が薄いか、経営陣が納得する利点やメリットが見つからないということになります。厳しい言葉で言えば、ベンダーが日本の人事部門に訴えかけられていないとも言え、日本の人事部門がタレントマネジメントの本質をどのように理解できるかについて学ぶ必要があるでしょう。外資系企業の実践を単純に模倣できないという経験が多いためです。
タレントマネジメントのパッケージに限らず、追加機能の導入は非常に難しいことがあります。コアな機能の置き換えを理由に機能を追加するケースも少なくありません。
最も大きな理由は、人事給与という必要不可欠でコスト意識の強いシステム機能という認識から抜け出せないことでしょう。つまり、攻めと守りの性質が異なる導入動機について、経営視点から提案できないということです。
たとえば、標準化が進んでいる分野において、給与などのシステム機能のコストを外部にアウトソースし、人事部門を前向きな人材マネジメントに特化させるという大局的な方針を示すことができれば、給与計算といった業務に関して、適切な計算と支給が行われる口実を取り除けると考えられます。
4)アウトソーシングという選択肢
人事情報システムの導入や更新を機に、自社の人事管理やオペレーションの構造を再評価し、業務を外部に委託する選択肢も重要な検討事項になっています。
システム同様に、業務にも前向きな戦略性と、効率性を重視して標準化を追求するものがあります。自社にとって本質的でない業務を外部に委託し、真に意味のある業務に焦点を当てることは理にかなったアプローチです。
「標準化」は、最適なプラクティスを知る必要があることを意味します。どこでも行われていることかもしれませんが、自社の方法が最善であると確信できる企業は少数でしょう。標準化は最も適切な方法であり、練り上げられた方法であるべきであり、業界標準として確立されているべきです。専門企業は、経済的な観点から最も適切な方法に最も近いと見なすことができます。そのような努力を怠った企業と比較すれば、違いは明白でしょう。
具体的な例として、給与計算などの業務はこのカテゴリに当てはまりますが、法令を遵守することを含めて、自社制度が適切に運用される場合、社会保険や税金の計算などの業務は標準化されている方が望ましいでしょう。専門家に委託するべきです。
一方で、アウトソーシングに反対する理由は何でしょうか。もし自社内で反対派がいる場合、理論的には根拠の薄い主張と考え、本当の理由を探すべきです。なぜその業務の外部委託に反対するのか、その理由を明らかにする必要があります。不安を感じていることや、妥当な理由があるかどうかを調査するべきです。例えば、人事データの機密性に対する不安を表明する声も多いです。
もし効率性や費用の問題でない場合、真の理由について経営陣が判断する必要があります。給与が高額で外部に知られたくないといった理由がある場合、その事実は既に広く知られている可能性が高いです。また、情報漏洩の不安がある場合、情報システム全体に対して利用できないという決断を下す必要があるかもしれません。
確かにアウトソーシングにはデメリットも存在します。その点については別の機会に議論しましょうが、まずはアウトソーシングを行うかどうかを決定し、その後でデメリットを回避する方法を考えることをお勧めします。最初からデメリットに焦点を当てるのは、アウトソーシングを拒否する理由を見つける傾向があるからです。
また、どの業務を外部に委託するかについても、実行を決定した後でも遅くはありません。すべての不安要素を解消する前からアウトソーシングを諦めるべきではありません。逆に言えば、すべての不安を完全に解消することは不可能であると認識すべきです。
標準化と効率化を追求することは、先進的な組織に任せるのが最善の方法であるという常識的な判断ができます。ただし、外部委託を避けたいと考える企業も存在します。その場合、グループ企業で業務を共有することで同様の効果を得たい場合、シェアードサービスを検討することも一つの選択肢です。
時間はかかるかもしれませんが、コストの外部への流出を回避し、同時に効率化を進めることに適しています。
思い切って、関連会社が業務とシステムを引き受ける関係会社を設立することも検討すべきです。これは従来のコストセンターからプロフィットセンターにアップグレードする戦略であり、企業内の戦略部門と計画を立てる必要があります。グループ内で対象業務の人員調査なども含まれます。
また、企業グループ全体のコストを把握し、負担を再分配するプロジェクトになることもあります。しかし、これは本社単独で計画するよりも、行き詰まりを打破するヒントが多いと考えられます。挑戦に値する計画だと思います。