【人工知能と人事情報システム】その1
[ 掲載日 ]2016/05/27
[ 掲載日 ]2016/05/27
- 人事給与パッケージで多くのシェアを獲得しているワークスアプリケーションズ社のCOMPANYの後継とされる 「HUE」という製品が話題になっています。これは人工知能を活用しているというセールスポイントなのですが、 内容については今ひとつ判然としません。最近の人事情報システムでは「タレントマネジメント」が話題なのですが、 ワークスアプリケーションズ社は、人工知能で勝負をかけるようです。
- 人工知能については、ディープラーニングで囲碁の韓国有名プロ棋士に勝利したことも話題になりました。人工知能の完成度は別にしても、 この技術がこの世界の将来に大きな影響を与えて行くことは間違いのないことのようです。 では、コンピュータ技術の特大な柱になっていくであろう人工知能が、人事管理システムではどういう役割を果たしていくのか、少し考えて見ようと思います。
- 1.人工知能の現在(おさらい)
- この世界で有名な先生の本(1)によると、これまで人工知能については不幸な歴史があったということです。 つまりあまりに期待しすぎて、なかなか期待したものにならなかったため、ブームが来ては希望と挫折の繰り返しであったと。 現在は第3次AIブームなのだそうです。
- 推論や探索の時代の第1次のブーム。エキスパートシステムなどの知識ベースの第2次ブーム。そして今回の第3次ブーム。 確かに第2次ブームは知っています。ちょうど私が社会人になった時のことで、1980年代です。 エキスパートシステムが、様々な産業分野で応用が検討されていました。 そのうちコンピュータが専門家の領域を侵していくだろうと喧伝されていました。しかしそうはならなかった。
- このあたりの栄光と挫折は、松尾先生の本(1)を読んでいただきたいと思います。 89年には「人事情報エキスパートシステム」という本まで出ました。 もうアマゾンでも買えませんが、ルールベースで構築するエキスパートシステムには限界があることが分かり、 急速にAIの研究は萎んでしまったとのことです。
- しかし例えば将棋のゲームなどで使われるロジックなどは、そのニーズに支えられ、 また別のアプローチから研究が進み、チェスではかなり前に、また将棋もすでに人間を越え、今回、19×19マスで膨大な宇宙のような世界で、 プロ棋士を破ったということで、一躍期待度が上がってきました。
- 最近ではiPhoneのSiriという音声システムが、まるでAIのような扱いを受けて、相当身近な存在になり始めています。 実は厳密な意味では人工知能ではないのですが、こういった日常に忍び込んでくる未来の予想のようなものが、一般の人々の関心を引きつけています。
- 更に、SF映画のようにその知能はいずれ人類を超え、人間を支配するのではないかとかいう心配も出てきました。 この世界では技術的に特殊なポイントをシンギュラリティとか呼ぶらしいですが、AIでは、AI自身が自分を超えるAIを作り出した時をいうらしいです。 つまり人工知能の拡大再生産ですね。
- グーグルに就職したこの分野の第一人者である研究者によると、それは2029年頃に来るだろうとのことです。 13年後ですよ。(まだ生きてるかもしれない。)しかし疑問だらけのお話です。 現在の第3次AIブームでは、ディープラーニングという技術が中心ですが、囲碁だけではなく、様々な場面で使われ始めているようです。 このあたりから話を進めていきましょう。
- (1)「人工知能は人間を超えるか」松尾豊
http://www.chukei.co.jp/business/detail.php?id=9784040800202